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花暦句会報:連雀(令和元年5月15日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「窓」

高点5句
ピアノ教室窓をふたえに棕櫚の花   加藤 弥子
短夜のひとりの生へ窓白む      安住 正子
浅草が揺れ神田が揺るる祭笛     安住 正子
夕薄暑かつて豆腐屋呼びし窓     岡崎由美子
花水木伊予に白寿の母祝ふ      中島 節子

冷奴何もせぬまま日の暮れて     岡崎由美子
上州の山を背ラに麦青し       田崎 悦子
母の日や子のきて磨く窓硝子     加藤 弥子
柿若葉八十路の胸を張りにけり    春川 園子
女客多きデパート夏来る       中島 節子
草の香の下に水音青葉闇       坪井 信子
夏きざす高窓の月ほの赤き      飯田 誠子
池の面の光を切りて蛇渡る      松成 英子
碑に眠る学徒らの名や薔薇赤し    矢野くにこ
新緑や方丈の窓開けられて      進藤 龍子
昇降機の小窓越しなる青嵐      向田 紀子
青嵐の虜となれり大欅        束田 央枝
ありがとうおかげさまです八十路首夏 横山 靖子
一と風に千の藤房応へけり      安住 正子

(清記順)

一口鑑賞夕薄暑かつて豆腐屋呼びし窓」〜由美子さんの句。昭和の頃の懐かしい光景である。夕暮れ時、豆腐屋が自転車でラッパを吹きながらやってくる。その音は「トーフー」と聞こえた。家の前を少し通り過ぎるくらいのタイミングで窓を開け、「お豆腐屋さ〜ん」と呼ぶと、待ってましたとばかりに止まる自転車…。作者は、今もある一つの窓を見てこんな記憶を呼び覚ましたのだろう。豆腐屋は1年中、売りに来ていたのかもしれないが、初夏の夕暮れが最も合う。「池の面の光を切りて蛇渡る」〜英子さんの句。夜の池だろうか。街灯の光か、あるいは月の光が映っている水面を蛇が横切ったのである。見ていた作者もハッとしたに違いない。「光を切りて」はまさに実感だろう。俳句では、眼前の一瞬の景を見逃さないことが大事だ。(潔)
 [ 2019/05/18 09:00 ]  未分類 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:若草(令和元年5月11日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「筍」、席題「由」

高点3句
竹の子をざつくばらんに煮てひとり   山本  潔
筍を抱く獣の仔のやうに        市原 久義
おいしいおすえとたかんなのつぶやいて 坪井 信子

江戸からの由来ある坂花は葉に     沢渡  梢
傘雨忌や工事長引く神田川       岡戸 良一
雨上がり今朝は令和の新樹光      市原 久義
紫を解いて葡萄の芽吹きけり      石田 政江
黒南風や鴉が襲ふ由比ヶ浜       山本  潔
なによりの友の笑顔や若葉風      加藤 弥子
今年竹一本立ちに手を出さず      飯田 誠子
これやこの筍御膳頂きぬ        廣田 健二
カーネーション嫁との距離のあと一歩  新井 洋子
河童らの好きな夏場所来たりけり    坪井 信子

(清記順)

一口鑑賞筍を抱く獣の仔のやうに」〜久義さんの句。筍は初夏の味わいとして格別なものがある。筍ごはんはもちろんのこと、若芽と炊き合わせた若竹煮、土佐煮、天ぷらなど、いろいろ楽しめる。この句はそんな筍を「獣の仔」に見立てたところが面白い。確かに、皮の色や土がまだ付いている筍は得体の知れない珍獣のように見える。作者によれば、「筍の湿り気や土の香、重さ、手触りなどを思い浮かべながら形容した」という。この日は「持ち帰る筍赤子抱くやうに」(新井洋子)との句もあったが、「獣の仔」の方に人気が集まった。「紫を解いて葡萄の芽吹きけり」〜政江さんの句。葡萄は4月下旬ごろから芽吹き始める。芽の先端は綺麗な紫色をしていて、それがほぐれるとどんどん伸びて枝になり、やがて房を付ける。近所に葡萄園でもない限り、我々が芽吹きを目にする機会はなかなかない。作者は、自宅に葡萄棚を作り、その生長を日頃からよく観察しているのだろう。その芽吹きの美しさに感動した気持ちを込めた一句。(潔)
 [ 2019/05/12 09:47 ]  未分類 | TB(0) | コメント(0)

花暦21周年の集い(2019年5月6日)

記念句会(主婦会館プラザエフ「シャトレ」)
特別選者入選句

◇相澤秋生選
天 令和元年五月沙緻忌に始まれり   針谷 英子
地 散りゆくも咲き継ぐ花も黙の中   市原 久義
人 こんな日はテニスをしよう風薫る  大野ひろし
  潮入の渦の勢や菖蒲の芽      中島 節子
  一段の磴に手を借る夕櫻      長岡 幸子
  順送りにならぬ人の世鳥帰る    堤  靖子
  能登古刹句碑燦燦と若葉光     岡戸 良一
  筑紫野に卑弥呼の気配蝶乱る    坪井 信子
  ありし日を話せばうるみ春の星   野村えつ子
  棒切れで砂に名を書く春渚     江澤 晶子


◇岡戸良一選
天 一聲は己に向けり残り鴨      針谷 栄子
地 母の忌に今年も燕来たりけり    矢野くにこ
人 印伝にとんぼの絵柄沙緻忌くる   向田 紀子
  「戰するな」千本の葉桜のこゑ   工藤 綾子
  順送りにならぬ人の世鳥帰る    堤  靖子
  生きるとは学ぶことなり百千鳥   加藤 弥子
  朝寝してあまたの季語に襲はるる  坪井 信子
  風光る髪なびかせて一輪車     春川 園子
  ありし日を話せばうるみ春の星   野村えつ子
  枇杷は実に俳縁続く友絆      工藤 綾子


◇加藤弥子選
天 令はしく揺れて風生桜かな     山本  潔
地 散りゆくも咲き継ぐ花も黙の中   市原 久義
人 能登古刹句碑燦燦と若葉光     岡戸 良一
  師の句集繰る春雨の窓明り     野村えつ子
  新元号に託す未来や新樹光     新井 洋子
  初夏や古城に望む海の青      春川 園子
  柚の花や師の忌に集ひ句に集ひ   岡崎由美子
  生かされて昭和・平成春惜しむ   長澤 充子
  順送りにならぬ人の世鳥帰る    堤  靖子
  風光る髪なびかせて一輪車     春川 園子


◇山本潔選
天 夕波に父子の遠投鱚釣れり     向田 紀子
地 散りゆくも咲き継ぐ花も黙の中   市原 久義
人 北を指すこころの磁石冬夜汽車   相澤 秋生
  一聲は己に向けり残り鴨      針谷 栄子
  「戰するな」千本の葉桜のこゑ   工藤 綾子
  兄ちやんに二年遅れて入学す    安住 正子
  青き踏む少年の声ホップして    吉崎 陽子
  順送りにならぬ人の世鳥帰る    堤  靖子
  古都なれや散りても美しき沙羅の花 中村 京子
  義経のはなしここにも余花の里   松成 英子
  風光る髪なびかせて一輪車     春川 園子  
  ありし日を話せばうるみ春の星   野村えつ子
  葉柳の土手に一列写生の子     福岡 弘子

 [ 2019/05/12 07:57 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:東陽(平成31年4月27日)

東陽句会(江東区産業会館)
席題「集」「初夏」

高点3句
アリーナの客の総立ち夏きざす  新井 洋子
夏兆すつづら屋に積む素編み籠  浅野 照子
道草の顔の集まる蝌蚪の池    安住 正子

地球儀の海の波立つ夏はじめ   山本  潔
藤の花羽音のなかにゐて一人   安住 正子

  下総一の宮
水馬の背ナ金色に神の池     貝塚 光子
平成も残り四日や目刺焼く    松本ゆうき
もこもこと重なり合ひて山笑ふ  斎田 文子
穏やかな余生を信じ新茶くむ   長澤 充子
平成尽くる春筍の土の濡れ    堤  靖子
平成も最後の句座に春惜しむ   野村えつ子
汐干潟耕すごとく貝を掘る    新井 洋子
船頭の替る難所や呼子鳥     浅野 照子
茅花流し途切れとぎれの旧街道  岡戸 良一
靴振つて零す浜砂暮の春     岡崎由美子
戦なき平成御世の花あかり    飯田 誠子

(清記順)

一口鑑賞夏兆すつづら屋に積む素編み籠」〜照子さんの句。「つづら」は竹籠に布海苔で和紙を貼り、柿渋と漆を塗り重ねて作る。通気性がよく、柿渋による防虫効果もあり、着物を収納するにはうってつけの収納具として重宝された。この句は、つづらになる前の素編み籠が積まれた光景に夏の到来を感じ取っているのである。日本橋人形町の今では珍しいつづら屋を訪れた際の一句。「夏兆す」という季語の斡旋がお見事。「平成も残り四日や目刺焼く」〜ゆうきさんの句。一種の時事俳句であり、「平成の世もあと四日だなぁ」という感慨を詠んでいる。ただそれだけのことなのだが、「目刺焼く」という個人的で素朴な行為を取り合わせたところに、俳諧味が生まれている。改元で世間が浮き足立っているのを尻目に目刺を焼きながら、冷静に世の中を見ている作者の姿が目に浮かぶ。(潔)
 [ 2019/04/28 11:07 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:すみだ(平成31年4月24日)

すみだ句会(すみだ産業会館)
兼題「夏近し」

高点3句
己が影踏みて牡丹の前去らず   加藤 弥子
これよりの余生なに色四葩咲く  高橋 郁子
青饅や辛子きかせて父の味    貝塚 光子

夏近し濡れ縁に干すゴム草履   岡崎由美子
終日を読書三昧余花の雨     長澤 充子
奥吉野西行庵に忘れ雪      桑原さかえ
晩春や久に聞きたる琴の奏    大浦 弘子
葉桜や昭和は遠く大鳥居     高橋 郁子
染め抜きの一茶の一句夏のれん  工藤 綾子
花桃や渓谷列車の発車音     貝塚 光子
白牡丹おのれの蘂に汚れをり   加藤 弥子
夏近し古書街裏の喫茶店     岡戸 良一

(清記順)

一口鑑賞染め抜きの一茶の一句夏のれん」〜綾子さんの句。一度読んだだけで、いかにも涼しそうな夏のれんの映像が瞬間的に立ち上がってくる。中七の「一茶の一句」が圧倒的な存在感を放ち、なおかつ軽快なリズムを生んでいるからだろう。染め抜かれているのがどんな句なのかは読み手の想像次第。「薄べりにつどふ荵(しのぶ)のしづくかな」「大の字に寝て涼しさよ淋しさよ」「武士町や四角四面に水をまく」「有陰の新麦飯や利休垣」「塔ばかり見えて東寺は夏木立」…。生涯に2万句以上を詠んだと言われる一茶。どんな句を持ってくるかによって、綾子さんの句の風情も変わってくる。そんな俳句もなかなか楽しい。(潔)
 [ 2019/04/27 09:50 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:若草(平成31年4月13日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「蛙の目借時」、席題「地」

高点2句
目借時地雷を踏んでしまいさう    山本  潔
当り木に母の擂り癖さくら冷え    新井 洋子

目借時ブラックホールの気色(けしき)かな 松本ゆうき  
カーテンのふはり蛙の目借時     沢渡  梢
美容師に頭あづけて目借時      加藤 弥子
糸游や溶けだしさうな石仏      坪井 信子
行く先はブラックホール花筏     山本  潔
花冷や和服畳むも正座して      針谷 栄子
地球まで五千五百万光年の春     石田 政江
これはこれは桜隠しに酌む地酒    岡戸 良一

(清記順)

一口鑑賞カーテンのふはり蛙の目借時」〜梢さんの句。俳句で日常の中の何でもないシーンを詠むのは意外と難しい。この句はカーテンが揺れただけの場面を「ふはり」というたった3文字で描写した。これが「蛙の目借時」にうまく呼応して詩的な空間を生んでいる。「目借時」は春の眠気を誘う暖かさの中で、とりわけ蛙が鳴き始める頃はうつらうつら眠くなるという時候の季語。「地球まで五千五百万光年の春」〜政江さんの句。地球から5500万光年離れた銀河にあるブラックホールの映像がこのほど公開された。このニュースが背景にあるのだが、余計なことは一切言わずに「五千五百万光年」という距離だけを示し、その遥か彼方の春を俯瞰するかのように詠んだのである。破調も字余りもむしろ効果的だろう。壮大な一句。(潔)
 [ 2019/04/14 07:22 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:連雀(平成31年4月3日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「四月馬鹿」

高点2句
椅子にみな足ぶらぶらと入学児   束田 央枝
薄紙を剥ぐごと癒えて花菜風    矢野くにこ

花冷えや寺の奥なる玉座の間    松成 英子
マヌカンのシルクのドレス春浅し  坪井 信子
春暁や体内時計修正す       飯田 誠子
塀に沿ふたんぽぽの列好きな道   加藤 弥子
こぶし咲く八年前の地震の日も   春川 園子
満開の辛夷洗車の水弾く      田村 君枝
芽ぶくもの朝な朝なにいとほしき  横山 靖子
花冷や弦の調子の狂ひがち     中島 節子
塩むすび鴉に捕られ四月馬鹿    束田 央枝
深山寺や花の舞ひ込む能舞台    矢野くにこ
春三日月の低きを支ふ闇の張り   向田 紀子
夫の忌よ白木蓮に囲まれて     田崎 悦子

(清記順)

一口鑑賞椅子にみな足ぶらぶらと入学児」〜央枝さんの句。ピカピカの1年生が教室で椅子に座っている様子はまさにこんな感じだろう。嬉しくもあり、ちょっと不安でもあり…。「足ぶらぶらと」は子どもたちの心を映している。「薄紙を剥ぐごと癒えて花菜風」〜くにこさんの句。病が少しずつ快方に向かっていることを「薄紙を剥ぐごと」と表現した。きっと気持ちも前向きになってきたのだろう。「花菜風」が利いている!「花冷えや寺の奥なる玉座の間」〜英子さんの句。桜が咲いた後、思いがけず気温が下がって慌てることがある。そんな寒さが「花冷え」で時候を示す言葉。由緒ある寺での一句だろうか。冬の寒さとは違うが、「玉座の間」のひんやりとした空気が伝わってくるようだ。(潔)
 [ 2019/04/06 08:58 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:すみだ(平成31年3月27日)

すみだ句会(すみだ産業会館)

高点2句
たんぽぽや何を訊いても頷く子   岡崎由美子
蘖や鉄扉重たき旧校舎       加藤 弥子

晩学の径に迷へり亀鳴けり     岡戸 良一
春愁の顔閉じ込めるコンパクト   加藤 弥子
いざやいざ蕾一斉花準備      大浦 弘子
大内の若葉の風に雅楽の音     高橋 郁子
草餅や記憶異なる姉妹       貝塚 光子
人とゐて一人の刻の桜かな     工藤 綾子
朧夜の庵の小窓灯りけり      長澤 充子
春愁や耳朶に馴染まぬイヤリング  岡崎由美子

(清記順)

一口鑑賞春愁の顔閉じ込めるコンパクト」〜弥子さんの句。「春愁」は春の物憂い気分。秋の「秋思」が思索的な深さを伴うのに対し、春ならではの甘美な気だるさといった感覚だろうか。この句がユニークなのは「春愁の顔」を「コンパクト」に閉じ込めるという発想だ。そうすることによって春の哀感を潔く断ち切ったのである。「秋思」ではこうはゆくまい。季語への理解があってこその一句。「春愁や耳朶に馴染まぬイヤリング」〜由美子さんの句も季語は動かない。弥子さんの句と異なる点は、「春愁」を身体感覚で捉えているところだろう。春という生命感あふれる季節に、わけもなく感じる物悲しさ。これを耳朶を通じて表現したのである。金属製の小さく軽いイヤリングが馴染まないという繊細な感覚が面白い。(潔)
 [ 2019/03/31 12:28 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:東陽(平成31年3月23日)

東陽句会(江東区産業会館)
席題「朧」「線」

高点3句
単線の電車来ぬ間の恋雀     岡崎由美子
街朧かつて名画座ありし角    野村えつ子
銀河鉄道一直線につばくらめ   浅野 照子

わが夢の遠ざかりゆく朧かな   岡戸 良一
園おぼろ岩に顎乗せ河馬睡る   新井 洋子
朧月「徂徠」「去来」は同じ意味 松本ゆうき
桜咲く小さき山にも神在す    野村えつ子
ガキ大将たりし友逝き春の星   岡崎由美子
明治座のはねて大川夕おぼろ   安住 正子
ひこばえや大空襲の語り部に   浅野 照子
沈丁の香の路地近く救急車    堤  靖子
ひとところ紅のはなやぐ初桜   飯田 誠子
曲がり切る都電の線路桜山    長澤 充子
子の家族見送る街の夕朧     斎田 文子
蛇口換える夫の奮闘うららけし  貝塚 光子
三味線の外す一音鳥雲に     山本  潔

(清記順)

一口鑑賞単線の電車来ぬ間の恋雀」〜由美子さんの句。席題「線」で詠まれた句だが、旅先での一コマを巧みに描いている。ローカル線の電車を待つ作者の前に現れた雀たち。雄が雌を追いかけるようにやってきたのだろう。春から初夏にかけて鳥は繁殖期を迎える。雄は雌の気を引こうとさまざまな仕種をする。それをじっと観察している作者の表情も含め、何とも微笑ましい光景だ。上五と中七で脚韻を踏み、言葉がリズミカルに流れた先に登場する「恋雀」に詩情が溢れる。「沈丁の香の路地近く救急車」〜靖子さんの句。沈丁花の香る路地。ふだんはのどかなはずの下町の空間に、救急車が来ているのである。作者の胸にちょっとした緊張が走る。決して珍しいことではないが、赤いランプや担架を運ぶ救急隊員の動きまで見えてくるようだ。沈丁の甘く強い香りに対し、非日常的な救急車をぶつけたことにより、読み手の想像力を掻き立てる。(潔)
 [ 2019/03/24 09:17 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:若草(平成31年3月9日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「初蝶」、席題「道」

高点3句
恐竜の季語ならば春浅きころ   坪井 信子
初蝶をあやつる糸のあるやうな  加藤 弥子
山や晴雪形の馬跳ねんとす    安住 正子

ベルト一つゆるめて歩く春の宵  松本ゆうき
初蝶やカタカタと児のランドセル 沢渡  梢
初蝶の舞ひ込む路面電車かな   山本  潔
鳥騒ぐわが庭先や春疾風     石田 政江
初蝶や第二志望に受かりし子   新井 洋子
プランターのざわめき始め初蝶来 安住 正子
初蝶の現世ひと日の汚れかな   針谷 栄子
ミモザ咲く庭に双子のベビーカー 廣田 健二
薔薇芽吹く人に疲れて人恋ひて  加藤 弥子
初蝶の翅やすませる扇塚     坪井 信子
願はくは春満月を天窓に     岡戸 良一
初蝶の薄絹ほどの重さかな    飯田 誠子

(清記順)

一口鑑賞恐竜の季語ならば春浅きころ」〜信子さんの句。「もしも『恐竜』という季語があったならば、浅春のころであってほしいものだ」。句意はこんなところだろうか。作者は大の恐竜好き。恐竜展や博物館にはせっせと足を運ぶらしい。恐竜のことを考え始めると、あれこれ想像が膨らむのだろう。「一度でいいから恐竜の句を詠んでみたかった」とは作者の弁だが、これからもどんどん挑戦してほしい。「山や晴雪形の馬跳ねんとす」〜正子さんの句。山腹の消え残った雪によってできた馬が、今まさに跳ねようとしているのである。「雪形」が春の季語。作者の故郷は能登半島。「山や晴」は春になってようやく晴れた北アルプスの雄大な景を思わせる。跳ね馬は北アルプスの笠ケ岳、白馬岳、上越の妙高山などが有名だ。福島の吾妻山には「雪うさぎ」が現れる。いずれも農作業開始の目安となる。(潔)
 [ 2019/03/10 09:53 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)
プロフィール

花暦

Author:花暦
『花暦』俳句会のWeb版。
師系・舘岡沙緻、富安風生、岸風三樓。
「人と自然の内に有季定型、写生第一、個性を詠う」をモットーに活動しています。

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