花暦句会報:木場(平成28年3月26日)

木場句会(平成28年3月26日 江東区産業会館)
席題/「亀鳴く」または「四月馬鹿」

高点3句
亀鳴くや駄句が名句に見えてきて    山本  潔
ウィルスはコンピューターにも亀鳴けり 野村えつ子
声かけて届かぬ人のかげろへる     田  澄夫

遠汽笛お玉杓子の尾が跳ねる      浅野 照子
丁字の香暗き鍵穴探りたる       新井 洋子
耳の日の耳を疑ふ二人かな       飯田 誠子
哲学門くぐれば亀の鳴けるなり     岡戸 良一
春めける歪み玻璃戸の畳廊       貝塚 光子
四月馬鹿どうして四月だけが馬鹿    白崎千恵子
それぞれに行く道のあり鳥雲に     堤  靖子
つばくろの出入自在な農具小屋     田  澄夫
旅立ちの朝の校舎や初桜        長澤 充子
海光や坂ゆるやかに花菜畑       中島 節子
よろづやの「塩」の看板雪解風     野村えつ子
しやぼん玉割れて透明人間に      山本  潔
 [ 2016/03/26 20:36 ]  俳句 | TB(0) | コメント(4)

花暦句会報:墨田(平成28年3月23日)

墨田句会 平成28年3月23日(墨田産業会館)

最高点句
隠沼(こもりぬ)の日向にゆるぶ蝌蚪の紐  野村えつ子

春光へ駆け出す車夫の笑顔かな     岡田須賀子
種袋振りて命の音高く         飯田 誠子
山水のあふるる桶に独活の束      野村えつ子
春疾風鷹女の像の帯高く        岡戸 良一
空濠の底に淀みや落椿         貝塚 光子
鉢しづくの小さき光や雪解風      森永 則子
春の雨玻璃窓歪む雑居ビル       大野ひろし
涅槃図を見し夜は亡夫の星探す     加藤 弥子
春の波テトラポットと睦み合ふ     市原 久義
白椿姿のままに錆びにけり       高橋 郁子
催花雨に散るも咲けるも黙の午後    吉田スミ子
ふわふわの嬰の髪毛や草若葉      斎田 文子
春禽の一声谷の枝渡る         長澤 充子
庭先を雉の横切る生家かな       福岡 弘子
かりそめの恋のもろさやなごり雪    工藤 綾子
山里の水音しげき春北風        鳰川宇多子
初桜とぎれとぎれの日を浴びて     山室 民子
歩行器の足のふんばり春の風      江沢 晶子
 [ 2016/03/23 22:15 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:若草(平成28年3月12日)

若草句会 平成28年3月12日(俳句文学館)
兼題/風船、席題/楽

高点2句
突くほどに重たくなりし紙風船(飯田誠子)
句座ありて余生は楽し初ざくら(加藤弥子)

菜の花の風や傾き来る電車(安住正子)
あたたかや「花暦」てふ遺伝子を(新井洋子)
鎮魂の風船五年目の空に(市原久義)
サイレンの狂つたやうに春の街(大野ひろし)
若者の白きくるぶし磯遊び(岡崎由美子)
逆上り出来ぬ少年山笑ふ(岡戸良一)
鎮魂の千の鈴振る花馬酔木(加藤弥子)
紙風船富山は近くなりにけり(斎田文子)
タバスコの辛さに耐えてふと春思(坪井信子)
楽茶碗黒でありけり利休の忌(針谷栄子)
岩山を背に猿の子春嵐(森永則子)
風船やピエロの厚き赤い口(山本 潔)


 [ 2016/03/13 10:15 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

『花暦』ダイジェスト/平成28年3月号

暦日抄   舘岡沙緻

月一度の医師通ひや年迫る
長病めば癌も親しや初御空
万両の朱を尽せりひとりの賀
枕元にティッシュボックス去年今年
野に遊ぶ少女は土に腹這ひて
嶺々晴れて人影もなき冬菜畑
食卓に筆立・カップ年始

〔Web版特別鑑賞〕「俳句鑑賞のたのしさは、作者を悉知しているより、作品を通じてその奥にいる作者を垣間見るところにある」。舘岡沙緻主宰の第一句集『柚』(昭和54年)に序文を寄せた岸風三樓はこう書き出した。その上で、「俳句というものは洵に正直で、こうした一句一句の中にも作者の心象、息づかいまでが読者に伝わって来るので、ついつい作者の見ほとりに連れて行かれるのである」と説いた。
 ブログで「暦日抄」の鑑賞を始めて4年余り。最初は、素人なりの簡単な感想を書き留める程度のつもりだったが、徐々に勉強ノートのようになり、時には誤解や思い込みで好き勝手なことも書いてきた。毎月、「暦日抄」を読むのが楽しかったからだと思う。とはいえ、主宰の心象や息づかいをどれだけ真剣に感じ取ってこられたかといえば、非常に心許ない気がしている。
 <枕元にティッシュボックス去年今年>。ティッシュペーパーはアメリカで誕生し、昭和28年ごろ日本に入ってきた。国内メーカーが箱入りティッシュを発売したのは昭和39年ごろという。今や日用品として定着しているが、当時は画期的だったであろう。そんなティッシュボックスを「去年今年」という季語に果敢に合わせたところがさえている。主宰らしいユーモラスな一句。
 <嶺々晴れて人影もなき冬菜畑>。よく晴れた冬の日、遠くの山々がくっきりと見えている。手前には畑が広がるが、人の姿は見えない。「人影のなき」ではただの描写だが、「人影もなき」とした措辞に孤独感がにじみ出ている。<食卓に筆立・カップ年始>。食卓にあるのはお酒や料理ではない。筆立とカップがいつも通りそこにある。それをただじっと見つめている年の始まり。この句も孤独感を即物的に詠んでいる。『花暦』の18周年記念大会はこのほど恙なく終了した。4月号を最後に休刊となる。(潔)

■『花暦』平成10年2月、創刊。主宰・舘岡沙緻。師系・富安風生、岸風三楼。人と自然の内に有季定型・写生第一・個性を詠う。
■舘岡沙緻(たておか・さち) 昭和5年5月10日、東京都江東区住吉町生まれ。42年、「春嶺」入門。45年、第9回春嶺賞受賞。63年、春嶺功労者賞受賞。平成4年、「朝」入会。岡本眸に師事。10年、「花暦」創刊主宰。24年、俳人協会評議員。句集:『柚』『遠き橋』『昭和ながかりし』『自註 舘岡沙緻集』。23年7月、第5句集『夏の雲』(角川書店)。


 [ 2016/03/05 16:07 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)
プロフィール

花暦

Author:花暦
『花暦』俳句会のWeb版。
師系・舘岡沙緻、富安風生、岸風三樓。
「人と自然の内に有季定型、写生第一、個性を詠う」をモットーに活動しています。

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