花暦句会報:連雀(平成29年10月4日)

2017年10月07日11:59  俳句

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)

好評8句
冬瓜の白く煮上り一人の餉     進藤 龍子
亡き人の佐渡の句想ふ夜の秋    進藤 龍子
返り咲く菖蒲ひともと夫癒えよ   矢野くにこ
とんぼうの夕べの祈り翅伏せて   矢野くにこ
珍しく秋果購ひ亡妻偲ぶ      根本 莫生
藤村の初恋の君林檎の香      束田 央枝
石榴裂け母家は幽き部屋多し    加藤 弥子
長椅子に臥して秋思の足の裏    坪井 信子

大根蒔くぱらつく雨はよしとして  松成 英子
野仏にうす日とどきし草の花    田崎 悦子
秋の灯に淡く光りてガラスペン   進藤 龍子
無花果やロシアの酒の火のごとし  加藤 弥子
篁の戦ぎこぼせし秋の声      坪井 信子
鳥海山の稜線流し霧疾し      飯田 誠子
飼鳥に診察券ありそぞろ寒     向田 紀子
落暉いま秋白波の日本海      横山 靖子
身に沁むや亡夫の蔵書を処分せり  束田 央枝
ガリ版誌捨てし若き日賢治の忌   根本 莫生
足の痛みよくなる兆し小鳥来る   春川 園子
晩節の足音なりき帰り花      矢野くにこ

                      (清記順)

一口鑑賞珍しく秋果購(あがな)ひ亡妻偲ぶ」〜莫生さんの句。奥様を亡くした後の独り暮らし。埋めようのない心の隙間を抱えた生活の中で、ふと気が向いて仏前に秋果を供えた。「珍しく」と、ちょっと照れてとぼけてみせるところが作者らしい。「身に沁むや亡夫の蔵書を処分せり」〜央枝さんの句。こちらは亡きご主人の蔵書を思い切って処分したのである。その途端に悲しみが心に染み込んできた。秋の寂しさと相まって実感がこもった一句。(潔)
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