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花暦句会報:東陽(平成30年12月16日)

東陽句会(江東区産業会館)
席題「極月」「響」

高点5句
叶ふなら上手く逝きたし冬安吾    沢渡  梢
電車待つ数分間の日向ぼこ      山本  潔
終活を心の隅に年用意        岡戸 良一
煮凝りとなるも透明なる余生     浅野 照子
着ぶくれて沖縄の苦を眺む俺     松本ゆうき

聖堂に響く讃美歌室の花       沢渡  梢
響くほど鼻すすりけり冬の朝     松本ゆうき
思ひ出は両手に余り返り花      堤  靖子
心身を恃む晩年冬至風呂       岡戸 良一
良く通る声の保母さん鵙日和     斎田 文子
タクシーの尾灯遠のく宵時雨     長澤 充子
クリスマスやつぱり東京タワーが好き 山本  潔
雪山をあとに列車の高響き      浅野 照子
伐採の音響きたる枯木山       安住 正子
麦の芽に湖の光や地の力       貝塚 光子
長葱さげてマーチの響く駅に立つ   飯田 誠子

(清記順)

一口鑑賞煮凝りとなるも透明なる余生」〜照子さんの句。「煮凝り」が冬の季語。カレイ、ヒラメ、アンコウなどゼラチン質の多い魚などを煮て、煮汁ごとゼリー状に固めた料理。半透明なプルプルとした物体の中に素材の旨味がぎゅっと詰まっている。この句は、自分自身をそんな煮凝りに見立てたところが何ともユニークだ。「煮凝りになったけれど、透明で偽りのない余生を送っていることだなあ」。作者の達観した心境が羨ましい。「長葱さげてマーチの響く駅に立つ」〜誠子さんの句。買い物袋からはみ出している長葱に生活感が溢れる一方で、マーチの響く駅という場面設定によって、どことなく非日常的なシーンが思い浮かぶ。ただ、長葱を提げているだけなのにえも言われぬおかしみが感じられる。席題「響」で詠まれた不思議な味わいのある一句。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。
師系:舘岡沙緻、岸風三樓、富安風生。
『花暦』は2019年夏季号で終刊。後継誌『艸(そう)』(2020年1月創刊)として再出発します。「艸」は「草」の本字であり、くさかんむりの原形です。二本の草が並んで生えているさまを描いた文字で、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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