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艸句会報:若草(令和元年7月13日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「西日」、席題「羽」

高点3句
洗濯機ガタゴト暴れ夏休み      針谷 栄子
遠雷は始祖鳥の羽打つ音か      坪井 信子
鉄橋の電車西日に透かされて     市原 久義

優曇華や厨の甕に山の水       坪井 信子
おしやべりな赤白黄色金魚草     沢渡  梢
蚊を打ちぬ一家の長の顔をして    山本  潔
鬼百合の生きぬく彩と思ひけり    加藤 弥子
レコードを聴くだけの部屋西日沁む  隣安
三伏や色を濃くせる人参酒      岡戸 良一
一兵の父の勲章西日射す       針谷 栄子
花布の蔵書の湿り雲母虫       新井 洋子
岩波の背表紙焦がす大西日      安住 正子
西日さす卓に残れるコップ酒     廣田 健二
夏の夜の夢は惑星「リュウグウ」へ  石田 政江
病室の肌に重たき西日かな      市原 久義

(清記順)

一口鑑賞鉄橋の電車西日に透かされて」〜久義さんの句。夏の午後、作者は離れた場所から鉄橋を眺めている。西からの強い日差しの中で、鉄橋を走る電車がふいに透けて見えたのである。実景でありながら、どこか人生を俯瞰しているような、心象的な句に読めてくる。長年、鉄道の仕事に携わった作者のノスタルジアを感じさせるからだろうか。ところで、「西日」「電車」とくれば<西日中電車のどこか掴みて居り>を思い出す人もいるのではないか。昭和22年の作。終戦後の復興の中、病を抱えた石田波郷が詠んだ一句。「レコードを聴くだけの部屋西日沁む」〜隣安さんの句。今回、作者はゲストとして初参加。句意は明解だ。「レコードを聴くだけの部屋」とは何とも贅沢な感じもするが、そこには西日が沁み込んでくるのである。しかも「レコード」となると、懐かしさがこみ上げてくる。案の定、作者が学生時代の下宿を思い出して詠んだという。思い出もすぐれた句材になる。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。師系:舘岡沙緻、岸風三樓、富安風生。
『艸』は2019年夏季号で終刊となった『花暦』の後継誌です。2020年1月に季刊誌として創刊します。「艸」は「草」の本字であり、くさかんむりの原形です。二本の草が並んで生えているさまを描いた文字で、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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