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花暦句会報:連雀(平成31年4月3日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「四月馬鹿」

高点2句
椅子にみな足ぶらぶらと入学児   束田 央枝
薄紙を剥ぐごと癒えて花菜風    矢野くにこ

花冷えや寺の奥なる玉座の間    松成 英子
マヌカンのシルクのドレス春浅し  坪井 信子
春暁や体内時計修正す       飯田 誠子
塀に沿ふたんぽぽの列好きな道   加藤 弥子
こぶし咲く八年前の地震の日も   春川 園子
満開の辛夷洗車の水弾く      田村 君枝
芽ぶくもの朝な朝なにいとほしき  横山 靖子
花冷や弦の調子の狂ひがち     中島 節子
塩むすび鴉に捕られ四月馬鹿    束田 央枝
深山寺や花の舞ひ込む能舞台    矢野くにこ
春三日月の低きを支ふ闇の張り   向田 紀子
夫の忌よ白木蓮に囲まれて     田崎 悦子

(清記順)

一口鑑賞椅子にみな足ぶらぶらと入学児」〜央枝さんの句。ピカピカの1年生が教室で椅子に座っている様子はまさにこんな感じだろう。嬉しくもあり、ちょっと不安でもあり…。「足ぶらぶらと」は子どもたちの心を映している。「薄紙を剥ぐごと癒えて花菜風」〜くにこさんの句。病が少しずつ快方に向かっていることを「薄紙を剥ぐごと」と表現した。きっと気持ちも前向きになってきたのだろう。「花菜風」が利いている!「花冷えや寺の奥なる玉座の間」〜英子さんの句。桜が咲いた後、思いがけず気温が下がって慌てることがある。そんな寒さが「花冷え」で時候を示す言葉。由緒ある寺での一句だろうか。冬の寒さとは違うが、「玉座の間」のひんやりとした空気が伝わってくるようだ。(潔)
 [ 2019/04/06 08:58 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:すみだ(平成31年3月27日)

すみだ句会(すみだ産業会館)

高点2句
たんぽぽや何を訊いても頷く子   岡崎由美子
蘖や鉄扉重たき旧校舎       加藤 弥子

晩学の径に迷へり亀鳴けり     岡戸 良一
春愁の顔閉じ込めるコンパクト   加藤 弥子
いざやいざ蕾一斉花準備      大浦 弘子
大内の若葉の風に雅楽の音     高橋 郁子
草餅や記憶異なる姉妹       貝塚 光子
人とゐて一人の刻の桜かな     工藤 綾子
朧夜の庵の小窓灯りけり      長澤 充子
春愁や耳朶に馴染まぬイヤリング  岡崎由美子

(清記順)

一口鑑賞春愁の顔閉じ込めるコンパクト」〜弥子さんの句。「春愁」は春の物憂い気分。秋の「秋思」が思索的な深さを伴うのに対し、春ならではの甘美な気だるさといった感覚だろうか。この句がユニークなのは「春愁の顔」を「コンパクト」に閉じ込めるという発想だ。そうすることによって春の哀感を潔く断ち切ったのである。「秋思」ではこうはゆくまい。季語への理解があってこその一句。「春愁や耳朶に馴染まぬイヤリング」〜由美子さんの句も季語は動かない。弥子さんの句と異なる点は、「春愁」を身体感覚で捉えているところだろう。春という生命感あふれる季節に、わけもなく感じる物悲しさ。これを耳朶を通じて表現したのである。金属製の小さく軽いイヤリングが馴染まないという繊細な感覚が面白い。(潔)
 [ 2019/03/31 12:28 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:東陽(平成31年3月23日)

東陽句会(江東区産業会館)
席題「朧」「線」

高点3句
単線の電車来ぬ間の恋雀     岡崎由美子
街朧かつて名画座ありし角    野村えつ子
銀河鉄道一直線につばくらめ   浅野 照子

わが夢の遠ざかりゆく朧かな   岡戸 良一
園おぼろ岩に顎乗せ河馬睡る   新井 洋子
朧月「徂徠」「去来」は同じ意味 松本ゆうき
桜咲く小さき山にも神在す    野村えつ子
ガキ大将たりし友逝き春の星   岡崎由美子
明治座のはねて大川夕おぼろ   安住 正子
ひこばえや大空襲の語り部に   浅野 照子
沈丁の香の路地近く救急車    堤  靖子
ひとところ紅のはなやぐ初桜   飯田 誠子
曲がり切る都電の線路桜山    長澤 充子
子の家族見送る街の夕朧     斎田 文子
蛇口換える夫の奮闘うららけし  貝塚 光子
三味線の外す一音鳥雲に     山本  潔

(清記順)

一口鑑賞単線の電車来ぬ間の恋雀」〜由美子さんの句。席題「線」で詠まれた句だが、旅先での一コマを巧みに描いている。ローカル線の電車を待つ作者の前に現れた雀たち。雄が雌を追いかけるようにやってきたのだろう。春から初夏にかけて鳥は繁殖期を迎える。雄は雌の気を引こうとさまざまな仕種をする。それをじっと観察している作者の表情も含め、何とも微笑ましい光景だ。上五と中七で脚韻を踏み、言葉がリズミカルに流れた先に登場する「恋雀」に詩情が溢れる。「沈丁の香の路地近く救急車」〜靖子さんの句。沈丁花の香る路地。ふだんはのどかなはずの下町の空間に、救急車が来ているのである。作者の胸にちょっとした緊張が走る。決して珍しいことではないが、赤いランプや担架を運ぶ救急隊員の動きまで見えてくるようだ。沈丁の甘く強い香りに対し、非日常的な救急車をぶつけたことにより、読み手の想像力を掻き立てる。(潔)
 [ 2019/03/24 09:17 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:若草(平成31年3月9日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「初蝶」、席題「道」

高点3句
恐竜の季語ならば春浅きころ   坪井 信子
初蝶をあやつる糸のあるやうな  加藤 弥子
山や晴雪形の馬跳ねんとす    安住 正子

ベルト一つゆるめて歩く春の宵  松本ゆうき
初蝶やカタカタと児のランドセル 沢渡  梢
初蝶の舞ひ込む路面電車かな   山本  潔
鳥騒ぐわが庭先や春疾風     石田 政江
初蝶や第二志望に受かりし子   新井 洋子
プランターのざわめき始め初蝶来 安住 正子
初蝶の現世ひと日の汚れかな   針谷 栄子
ミモザ咲く庭に双子のベビーカー 廣田 健二
薔薇芽吹く人に疲れて人恋ひて  加藤 弥子
初蝶の翅やすませる扇塚     坪井 信子
願はくは春満月を天窓に     岡戸 良一
初蝶の薄絹ほどの重さかな    飯田 誠子

(清記順)

一口鑑賞恐竜の季語ならば春浅きころ」〜信子さんの句。「もしも『恐竜』という季語があったならば、浅春のころであってほしいものだ」。句意はこんなところだろうか。作者は大の恐竜好き。恐竜展や博物館にはせっせと足を運ぶらしい。恐竜のことを考え始めると、あれこれ想像が膨らむのだろう。「一度でいいから恐竜の句を詠んでみたかった」とは作者の弁だが、これからもどんどん挑戦してほしい。「山や晴雪形の馬跳ねんとす」〜正子さんの句。山腹の消え残った雪によってできた馬が、今まさに跳ねようとしているのである。「雪形」が春の季語。作者の故郷は能登半島。「山や晴」は春になってようやく晴れた北アルプスの雄大な景を思わせる。跳ね馬は北アルプスの笠ケ岳、白馬岳、上越の妙高山などが有名だ。福島の吾妻山には「雪うさぎ」が現れる。いずれも農作業開始の目安となる。(潔)
 [ 2019/03/10 09:53 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:連雀(平成31年3月6日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「桃の花」

高点3句
母在ればこそのふるさと桃の花  中島 節子
花桃やいい子いい子と嬰あやす  加藤 弥子
啓蟄や昭和レトロのトースター  松成 英子

 進藤龍子様見舞
術後良き友の笑顔よ春セーター  加藤 弥子
吾の為と亡夫植えし梅咲きあふれ 束田 央枝
いよよ娘も老眼鏡や桃の花    春川 園子
また一つ消ゆる町屋や臥竜梅   飯田 誠子
一筆の眼(まなこ)に命こけし雛 田崎 悦子
八十路などまだ青春よ花菜風   横山 靖子
万蕾のほぐるる兆し梅の郷    矢野くにこ
癖つ毛の名残りを束ね雛の前   向田 紀子
炉の名残り石段ぬらす細き雨   松成 英子
中年の男来てゐる雛の店     中島 節子
耳掻きのこけし退屈桃の花    坪井 信子

(清記順)

一口鑑賞八十路などまだ青春よ花菜風」~靖子さんの句。菜の花が一面に咲いている光景は何とも心地が良いものだ。目の前に広がる黄と緑の明るい色はいかにも早春らしい。そよ風も吹いて「八十歳なんてまだ青春のうちよ」と言葉が口を衝いて出たのだろう。中七の「まだ青春よ」が何とも潔い。「菜の花の昼はたのしき事多し」は長谷川かな女の句。古来、菜の花は自生しており、江戸時代には菜種油の灯明が広まった。現在はほとんど西洋種に取って変わられたという。「癖つ毛の名残りを束ね雛の前」〜紀子さんの句。髪を束ねて雛の前に座っているのは作者自身だろう。かつては癖毛だったのが、年を重ねるうちに変化したのである。若かりし頃を回想しながら、髪の毛のことにふと思い至ったのかもしれない。「雛の前」という詠み方が巧みだ。そこには時空を超えてさまざまな「わたし」がいる。(潔)
 [ 2019/03/09 08:59 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:すみだ(平成31年2月27日)

すみだ句会(すみだ産業会館)

高点4句
和三盆舌にとけゆく雨水かな   貝塚 光子
水辺りの杭のちぐはぐ鳥の恋   加藤 弥子
些かの愁ひ残して二月尽     岡戸 良一
膝に抱く老猫恋を知らぬまま   長澤 充子

古民家の座敷いつぱい吊し雛   長澤 充子
椿落つる音のかすかや人恋し   加藤 弥子
春寒や鏝絵の白狐眼の険し    岡戸 良一
すれちがふ舞妓の簪春を告ぐ   大浦 弘子
野球場にひびく喚声春夕焼    桑原さかえ
梅咲くや晩学の座の一人欠け   工藤 綾子
古草や川辺に国威宣揚碑     岡崎由美子
宵明り白梅うるむ切通し     貝塚 光子
鱗片を脱ぎし辛夷をほどく風   高橋 郁子

(清記順)

一口鑑賞些かの愁ひ残して二月尽」~良一さんの句。何となく1月は長く感じられたのに、2月はあっという間に過ぎてしまう。もちろん日数が少ないこともあるが、年度末を控えて慌しさが増してくるからだろうか。月初めに立春があり、まだ寒さは厳しい中にも、木の芽が吹き、梅が咲き、日も長くなり、街並みも徐々に春めいてくる。本来なら「二月尽」という季語には少しほっとした気分が込められているのだが、この句には「何だか心が晴れないまま2月が終わったなあ」という、ちょっと不安な感じが漂っている。「野球場にひびく喚声春夕焼」〜さかえさんの句。ナイターシーズンにはまだ早いが、春の夕暮れ時の野球場に歓声が響いたのである。寒さが和らぎ、「春夕焼」には少しホッとしたような柔らかさが感じられる。(潔)
 [ 2019/03/02 09:15 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:東陽(平成31年2月17日)

東陽句会(江東区産業会館)
席題「木の芽」「水」

高点3句
水は照り風は弾みて猫柳        野村えつ子
老といふ艶を矜持に風生忌       岡戸 良一
木の芽風日差しほつこり古書の市    飯田 誠子

ものの芽のそれぞれにある深空かな   岡戸 良一
茹でたての花菜の香る辛子和      貝塚 光子
春霙ラー油を弾く水餃子        山本  潔
路地裏の窓に紅濃く桜草        飯田 誠子
遠浅間淡き吐息の冬桜         斎田 文子
老眼のすすむ速さよ水温む       堤  靖子
研修の紺の制服木の芽時        新井 洋子
春眠や酒呑童子かプラトンか      松本ゆうき
一山の芽吹きうながす護摩太鼓     野村えつ子
水音のやさしさにゐる梅の園        安住 正子
湧水の滲む崖路(がけじ)や下萌ゆる  長澤 充子
“亡母そつくり”と包まれし掌や春愁    浅野 照子

(清記順)

一口鑑賞水音のやさしさにゐる梅の園」〜正子さんの句。梅の花は春の代表格。早くから咲き、香りも高い。そんな梅園の中にいるだけでも楽しいのだが、作者は「水音」を聴きながら、優しく幸せな気持ちに満たされている。どこから水音が聴こえてくるかは一切言っていないのに、読み手を納得させるのは中七の「やさしさにゐる」という措辞だろう。水音と梅園が溶け合って詩的空間を生み出している。「遠浅間淡き吐息の冬桜」〜文子さんの句。作者の居場所からは遥か遠くに浅間山が望める。この句は上五でいったん切れる。中七と下五では「淡き吐息」が感じられるくらい近くに冬桜が咲いている情景を描写したのである。こうした遠近法も俳句ではよく使われる。(潔)
 [ 2019/02/17 22:13 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:連雀(平成31年2月6日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「梅」

高点3句
蹠より大地の息吹寒明くる       坪井 信子
堰に来て水盛りあがる梅明り      加藤 弥子

 秋山光枝様葬送ミサ
冬カーネーションの赤きを献じ訣れけり 加藤 弥子

菜の花畑海風を黄に染めて       束田 央枝
梅が香や娘大事の父の忌来       中島 節子
吽形と阿形の仁王恋の猫        松成 英子
紅梅の枝重なりて空狭し        田崎 悦子
梅一輪紅枝先に母の忌来        田村 君枝
鶯の次の声待つ札所寺         飯田 誠子
八十路行くは容易ならずや梅三分    春川 園子
霜晴の甲斐の山並せり上る       横山 靖子
春近しドームの中のキルト展      坪井 信子

 悼秋山光枝様
寒の梅真白く悼み深くせり       加藤 弥子

一口鑑賞蹠より大地の息吹寒明くる」〜信子さんの句。立春前のおよそ30日間が一年で最も寒い時期。その「寒」が明けると暦の上では春になる。作者は寒明けを「大地の息吹」と捉え、足の裏で感じ取っているのだ。こうした身体感覚を詠むのも俳句の手法の一つ。「春の雪母の寝息を身ほとりに」「啓蟄の土に膝つきドア磨く」「靴脱いで蹠さびしき涼み舟」はいずれも沙緻師の句。「冬カーネーションの赤きを献じ訣れけり」〜弥子さんの句。花暦同人だった秋山光枝さんへの追悼句。1月に99歳でこの世を去ったが、つい5年ほど前まで連雀句会や若草句会にも元気に出席されていた。もの静かで謙虚な人柄。三鷹駅近くの商店街を悠々と自転車に乗る姿が筆者の目にも焼き付いている。告別式は井の頭公園近くのカトリック教会で執り行われた。「寒の梅真白く悼み深くせり」も弥子さんによる追悼句。「老象の人気は絶えず春の雲 光枝」。ご冥福を祈ります。(潔) 
 [ 2019/02/09 10:47 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:東陽(平成31年1月26日)

東陽句会(江東区産業会館)
席題「春隣、待春」「面」

高点4句
次の世の夫はロボット魚は氷に 浅野 照子
雀らの呼び出してゐる蕗の薹  野村えつ子
待春や辻占煎餅「吉」と出て  新井 洋子
自転車を父に習ふ子春隣    堤  靖子

白足袋やAの五列のます席へ   新井 洋子
東京の渇き池面の蓮の骨    堤  靖子
春待つや三面鏡に鳥の影    山本  潔
眼なき面に夕日や達磨市    岡崎由美子
女正月蹠つるりと恙なし    貝塚 光子
久女忌の裏面見せぬ冬満月   岡戸 良一
春を待つ壁一面の千羽鶴    長澤 充子
水注ぐ花瓶の音も春隣     野村えつ子
寒昴干されし儘の柔道着    浅野 照子

(清記順)

一口鑑賞次の世の夫はロボット魚は氷に」〜照子さんの句。今、世界中でAIロボットと結婚する人が増えているという。「まさか!?」と驚く人も多いだろうが、ネットで検索してみると確かにそんな事例が報告されている。「人間とロボットの結婚は2050年までに合法化される」と予想する専門家もいる。この句はそんな現実を踏まえており、決して絵空事ではない。季語「魚は氷に(魚氷に上る)」は七十二候の一つ。太陽暦では2月14日ごろからの5日間。春の訪れを感じる空想的な言葉が作者の個性とマッチしている。「水注ぐ花瓶の音も春隣」〜えつ子さんの句。晩冬になると、寒さが続いていてもふと春の温もりを感じるようになる。作者は花瓶に水を注いだときの音の変化を「春隣」と感覚的に捉えたのである。同じような季語でも「春近し」は客観的、「春待つ」は心象的な内容になる。(潔)
 [ 2019/01/27 11:41 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)

花暦句会報:すみだ(平成31年1月23日)

すみだ句会(すみだ産業会館)

高点2句
楪や大内山に日の光      貝塚 光子
護摩焚きの読経響ける寒御堂  長澤 充子

仏の座薬鉢のこる極楽寺    高橋 郁子
連なりて連なりて山春を待つ  工藤 綾子
初東雲に今年の決意確かめり  桑原さかえ
お茶室や一輪挿しの寒椿    大浦 弘子
髪染めてひとり気儘に女正月  長澤 充子
好好爺の掌の餌に冬雀     貝塚 光子
湖見えて一期一会の寒蜆    岡戸 良一

(清記順)

一口鑑賞楪や大内山に日の光」~光子さんの句。「楪(ゆづりは)」は新年の季語。常緑高木で、長い楕円型の葉は表面に光沢がある。初夏に新しい葉が出るが、古い葉は新しい葉が生長するまで残り、やがて世代を譲るかのように落ちる。縁起物として正月飾りに用いられてきた。中七の「大内山」は皇居のこと。今年5月に行われる皇位継承を念頭に置き、「楪」との取り合わせに感慨が込もる。平成最後の一般参賀は明るい日の光に包まれていた。「仏の座薬鉢のこる極楽寺」~郁子さんの句。「仏の座」は春の七草の一つ。新年に鎌倉の極楽寺へお参りに行ったのだろう。ここは山門を入って参道を進むと、本堂手前の右手に薬鉢と茶臼が置かれている。そのままの景を詠んだだけなのだが、極楽寺という場所柄もあり、「薬鉢」をめぐる物語を連想させる。(潔)
 [ 2019/01/26 09:22 ]  俳句 | TB(0) | コメント(0)
プロフィール

花暦

Author:花暦
『花暦』俳句会のWeb版。
師系・舘岡沙緻、富安風生、岸風三樓。
「人と自然の内に有季定型、写生第一、個性を詠う」をモットーに活動しています。

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