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艸句会報:東陽(令和2年4月)

東陽通信句会

高点2句
胴吹きの幹逞しく「艸」の春     長澤 充子
ひとりごと言ふ癖つきぬ放哉忌    中川 照子

書くのみの恋文たのし四月馬鹿    中川 照子
リラ冷や聖路加タワーは硝子張り   堤 やすこ
春窮の家に籠りて日々疎し      岡戸 林風
雲雀落つ天の言伝て携へて      新井 洋子
魚島のいきなり鯨めく形       山本  潔
曳く水尾に力なほあり残り鴨     野村えつ子
花屑を掃くも気晴らし自粛の世    貝塚 光子
春月に助けたまへと祈りけり     斎田 文子
語り合ふ恋の窓辺やリラの花     長澤 充子
陽炎や道の辺に人悼む花       岡崎由美子
ユトリロの描く街角風光る      飯田 誠子
自粛期の名画三昧春逝かす      向田 紀子
自粛てふ日々の長きや花は葉に    安住 正子
春満月アインシュタイン舌(べろ)出した  松本ゆうき

(清記順)

一口鑑賞】「ひとりごと言ふ癖つきぬ放哉忌」照子さんの句。コロナ禍で引き籠り状態になっている今のご時世を踏まえているが、「ひとりごと言ふ癖」は一人暮らしの人にとっては、以前からありがちなことでもあろう。そこはかとない孤独感は下五に置いた「放哉忌」と響き合っている。尾崎放哉は種田山頭火と並ぶ放浪の俳人。エリートの道を捨てて数奇な人生を歩み、大正15年4月7日、42歳でこの世を去った。<咳をしても一人>は結核の末期状態の中で詠まれた凄惨な一句。「曳く水尾に力なほあり残り鴨」えつ子さんの句。引き籠りがちになればなるほど、こうした写生句に惹かれるのはなぜだろう。日本で越冬した後も怪我や病気で北の地へ帰れなくなった残り鴨。憂えの中にも、鴨の曳く水尾に力があると見たところに、作者自身の心が投影されているのではないか。<残りしか残されゐしか春の鴨>は岡本眸の句。(潔)
プロフィール

艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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