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艸句会報:若草(令和3年10月11日)

若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「紙」

高点1句
鰍突く祖父は明治の近衛兵      坪井 信子

白秋や宮の土俵に紙垂吹かれ     新井 洋子
秋興や老いてジュラ紀の鳥のこと   坪井 信子
紙芝居子らと観てゐる赤とんぼ    沢渡  梢
苔を食む鯉の背鰭や水澄めり     飯田 誠子
『のらくろ』の布張りの書や秋灯   安住 正子
新蕎麦や一筆箋の添へ手紙      新井 紀夫
シューベルト妻と聴く夜の黒葡萄   山本  潔
難民の幕舎も照らせけふの月     市原 久義
絵草紙の猫の百態秋灯下       岡戸 林風
大木の実紅くして梢の秋       石田 政江
木と土と紙のお家や小鳥来る     松本ゆうき
曼珠沙華活けるためらひありにけり  針谷 栄子
地方紙を入れて発送富有柿      吉﨑 陽子

(清記順)

【一口鑑賞】難民の幕舎も照らせけふの月」久義さんの句。今年の中秋の名月は9月21日(陰暦8月15日)で8年ぶりに天体運行の満月と重なった。見事な月は現在の地球を映す鏡のようでもあった。作者には、急激に政情が不安定になったアフガニスタンが見えたのだ。「幕舎(ばくしゃ)」はテント。そこに暮らす難民も照らしてほしい。そう祈りながら詠んだ一句。「地方紙を入れて発送富有柿」陽子さんの句。「富有柿」は西日本を中心に各地で生産されている晩成の代表品種。甘みが強く、果肉は柔らかい。この句は、兼題「紙」で「地方紙」を詠み込んだ。柿と一緒に受け取った人は、作者の地元のニュースを興味深く読むことだろう。(潔)

艸句会報:連雀(令和3年10月6日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「健」

高点2句
赤とんぼ風のりかへて戻りけり    安住 正子
村医者のブルージーンズ小鳥来る   山本  潔

健やかに生きて米寿の菊膾      坪井 信子
健脚でありしはむかし葛の花     安住 正子
わが晩年穏やかにあり秋彼岸     春川 園子
無患子や健やかなれと祈る嫁     松成 英子
窓あけて一人満月見て眠る      横山 靖子
函館の街の灯りを夜長とす      飯田 誠子
健さんの映画ロケ地や秋没日     山本  潔
老犬の健気な歩み草の花       向田 紀子
秋うらら「艸」の表紙の赤とんぼ   中島 節子
数珠玉や父とつくりし首飾り     渕野 宏子
ゆく風を追ひかける風大花野     矢野くにこ
遮るものなく名月は其処に在す    束田 央枝
取りあへずラジオ体操秋日和     松本ゆうき
(清記順)

【一口鑑賞】赤とんぼ風のりかへて戻りけり」正子さんの句。原っぱに群れて飛ぶ「赤とんぼ」。そのうちの一匹をじっと観察している作者。宙に静止したかと思うと、不意に遠ざかり、また戻ってくる。そんな一瞬を「風のりかへて」と言い止めた。戻ってきた一匹に愛着を感じたのかもしれない。「数珠玉や父とつくりし首飾り」宏子さんの一句。「数珠玉」はイネ科の多年草で湿地に生える。秋に結んだ実が、緑から黒や灰色へ変化して硬くなる。この実を採って子どもが遊んだことから、この名がある。作者も幼い頃に父親と一緒に首飾りを作ったという。「数珠玉」を見るたびに蘇る大切な思い出を一句にした。(潔)

プロフィール

艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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