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艸句会報:東陽(令和2年5月)

東陽通信句会

高点2句
窓若葉バジルたつぷりスパゲティー  堤 やすこ
青蔦や窓を洩れくる受難曲      野村えつ子

日を浴びて歩かむ栃の花盛り     貝塚 光子
薬屋の目立つ町なり夕薄暑      堤 やすこ
夏風邪や不要不急の本でよし     松本ゆうき
傘雨忌や耳に届かぬ祭笛       岡戸 林風
薔薇の夜の舌にころがすブランデー  長澤 充子
ちちははの産土とほし藷焼酎     岡崎由美子
皮脱ぎし竹に無限の空ありぬ     野村えつ子
エプロンの父子合作の冷索麺     中川 照子
水のなき川に嵩増す夏落葉      山本  潔
青田波ペダル立ち漕ぐ下校の子    新井 洋子
槻の空真青なりけり夏来る      安住 正子
瞬きの間に緑濃くなりぬ       斎田 文子
鴨足草の花もつれ合ふ路地に風    飯田 誠子

(清記順)

【一口鑑賞】窓若葉バジルたつぷりスパゲティー」やすこさんの句。「窓若葉」はベランダで育てている植物の若葉だろうか。それを眺めながらの食事のひととき。「バジルたつぷり」だから、ジェノベーゼかな。松の実やニンニクなどとオリーブオイルを混ぜた緑色のソースが目にも優しい。「青蔦や窓を洩れくる受難曲」えつ子さんの句。ミッションスクールや教会、あるいは洋風のおしゃれなカフェの外観を想像させる。窓の下で足を止めた作者に聴こえてきたのは、イエスの苦難を追想する受難曲。バッハの「ヨハネ受難曲」や「マタイ受難曲」が有名だ。この句にはコロナ禍の終息を願う気持ちも込められているのではないか。
傘雨忌や耳に届かぬ祭笛」林風さんの句。「傘雨忌」は5月6日。大正から昭和にかけて小説家、劇作家、俳人として活躍した久保田万太郎の忌日。祭笛が聴こえてこないのはコロナ禍でさまざまなイベントが中止になっているからだろう。浮かぬ気持ちを「傘雨忌」に重ね合わせた。万太郎の<神田川祭りの中をながれけり>を踏まえている。「瞬きの間に緑濃くなりぬ」文子さんの句。夏の木々は艶やかな葉を吹き出し、色合いを変えていく。その変化は「若葉」「青葉」「新緑」などの季語によって表される。濃淡さまざまな緑が深まったのが「万緑」。作者にとってはまさに「瞬きの間」に緑が濃くなったように感じられたのである。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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