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艸句会報:連雀(令和2年6月)

連雀通信句会

高点2句
夜毎来る守宮と話す厨窓       安住 正子
豆飯やお裾分けとは佳きことば    坪井 信子

馬術部のフェンス覆へる葛若葉    向田 紀子
若葉光古墳八基をつつむ杜      横山 靖子
沙緻の忌の朝の空や柚子の花     山本  潔
遠富士を望む屋上梅雨晴間      松成 英子
またたきは烏賊釣船か沖望む     安住 正子
竹そよぐ音の涼しき杜の朝      飯田 誠子
くず餅のつるりと愚痴を飲み込めり  吉﨑 陽子
山法師の白さに和む杖ついて     春川 園子
シャワー浴ぶ欲望もはや願望に    中島 節子
葉柳の影追ふ風の遊びかな      坪井 信子
鉛筆を削れば木の香四葩咲く     進藤 龍子
栴檀の花大らかに息安らかに     束田 央枝
しつかりと小さき双手のラムネ瓶   岡崎由美子
夏つばめ灯台に胸みせにくる     矢野くにこ

(清記順)

【一口鑑賞】夜毎来る守宮と話す厨窓」正子さんの句。守宮は体長10センチほどの爬虫類。夜行性で、灯に集まる虫を捕食するためやってくる。窓ガラスに指の吸盤がピタリと張り付いているのを見ると、一瞬どきっとするが、その名の通り「家を守ってくれている」と思えば、さほど怖いものでもない。作者はいつも、守宮にやさしく語りかけているのだろう。「豆飯やお裾分けとは佳きことば」信子さんの句。「裾分け」を広辞苑で引くと、「もらいものの余分を分配すること。また、利益の一部を分配すること」とある。意外と味気ない説明だが、作者が「佳きことば」と言う背景には、ご近所との日頃の良好な関係があるからではないか。お裾分けでいただくお菓子や果物などは嬉しいものだ。「豆ご飯をたくさん作り過ぎちゃって。良かったら召し上がって」。決して押し付けがましくないところがいい。
 「くず餅のつるりと愚痴を飲み込めり」陽子さんの句。気心の知れた友達との楽しい会話。愚痴もいろいろ出てくる。話に夢中になって、お茶受けの葛餅を食べていないことに気づいたのだろう。口に入れた途端に愚痴とともに喉元を通り過ぎたのである。「くず」「ぐち」の語幹が妙に響き合う。俳味のある一句。「鉛筆を削れば木の香四葩咲く」龍子さんの句。デジタルの世の中になり、鉛筆を使う機会がめっきり減った。もはや鉛筆を削ったことのない若者も多いに違いない。作者は90代。今も鉛筆をこよなく愛し、日常的に使っているのだろう。鉛筆を削る手元の映像とともに、木の香りが立ち上がってくる。窓の外の紫陽花もホッとさせてくれる。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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