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艸句会報:東陽(令和2年10月)

東陽通信句会

高点3句
秋天のどこに打たうか句読点    安住 正子
子規の忌やまだ言ふことをきく体  野村えつ子
山の日をつなぎ止めたるすがれ菊  新井 洋子

恙なき老いの幸せ新酒酌む     長澤 充子
母の歳越えて母恋ふ木の葉髪    野村えつ子
解体の家を明日に残る虫      岡戸 林風
上げ潮の川面を照らす月今宵    斎田 文子
教会の燈に人のゐる秋の雨     堤 やすこ
摩天楼より銀杏黄葉の点と線    中川 照子
美術の秋人の流れに迷ひなく    向田 紀子
秋の日の母の自画像われに似て   飯田 誠子
実むらさき細筆書きの母の文    山本  潔
一房の双手に余る葡萄狩り     貝塚 光子
大降りや鶏頭直に立ちをれり    岡崎由美子
ひらがなは母のぬくもり草の花   安住 正子
桐一葉身につまさるることの日々  中島 節子
熱燗や猫舌も座に加はりて     新井 洋子
後悔はじわりじんわり秋時雨    松本ゆうき

(清記順)

【一口鑑賞】恙なき老いの幸せ新酒酌む」充子さんの句。世界は新型コロナウイルスの流行という不測の事態に見舞われているが、恙なくまた一つ歳を重ねた作者。新酒を酌みながら、健康でいることが何よりの幸せだという実感を素直に詠んだ。「教会の燈に人のゐる秋の雨」やすこさんの句。この秋は天候不順で、特に前半は雨が多かった。春先からのコロナ禍も収束せず、教会で祈りを捧げる人もいるのだろう。秋雨の降る寂しい日、明かりの灯る教会の窓にふと人の姿を見たのか、作者自身も教会の中にいるのか。燈の下にいる人の姿に何だかホッとさせられる。
 「ひらがなは母のぬくもり草の花」正子さんの句。日本人の多くは、ひらがなは柔らかくて親しみやすいと思っているだろう。それを「母のぬくもり」と言い留めたところが作者らしい。「草の花」は秋に咲くいろいろな花。春や夏の花に比べると、地味で可憐なものが多いが、秋の深まりとともに郷愁を誘う。ひらがなを教えてくれたお母さんのように。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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