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艸句会報:東陽(令和2年12月)

東陽通信句会

高点2句
山茶花やキッチンカーに招き猫    新井 洋子
ふところに列車走らせ山眠る     野村えつ子

冬木の芽子ら駆けてゐる芝の上    貝塚 光子
点りても寂しき赫よ青木の実     向田 紀子
一陽来復光のとどく机・椅子     堤 やすこ
一碧の沖に船置く枯尾花       中島 節子
眉引きしのみのこもり居冬ざるる   安住 正子
子らの声散つて明るくなる枯野    岡崎由美子
極月の声に気合や消防士       野村えつ子
裸木の並木は空を支へをり      新井 洋子
知りつくす日本の都ゆりかもめ    岡戸 林風
うたた寝と読書と雪見障子かな    山本  潔
遠富士や青首大根肩並べ       斎田 文子
走り根の滑る小径や冬木立      長澤 充子
江戸弁の売り子の声や年の市     飯田 誠子
日短か雀色時ひとを恋ふ       松本ゆうき
日記買ふ「残日録」と銘打ちて    中川 照子

(清記順)

【一口鑑賞】ふところに列車走らせ山眠る」えつ子さんの句。ローカル線の旅だろうか。寒々しい中にあっても、冬日の当たる雑木山の景に何だかほっとさせられる。「山眠る」は北宋の画家・郭熙(かくき)の画論の一節「冬山惨憺として眠るが如し」に基づいた季語。眠りの中にある雑木山が列車の音をぼんやりと聴いている感じだ。冬の山を擬人化して的確に詠んでいる。
 「一碧の沖に船置く枯尾花」節子さんの句。小高い丘に立つ作者。沖に広がる碧い海を俯瞰している。キラキラ光る水平線には船が動いているようでもあり、泊まっているようでもあり。振り返れば、近くには枯尾花の野が広がっている。まるで一枚の絵のような一句。「遠富士や青首大根肩並べ」文子さんの句はよく目にする写真のようだ。青首大根の並ぶ畑をアップにして、遠くに富士山が小さく写っている。
 「日記買ふ『残日録』と銘打ちて」照子さんの句。何事にも細やかな作者のこことだから、かつては夢を綴る「夢日記」だったかもしれない。今は「残実録」と名付けたが、決して開き直ったわけではない。年の功で人生を達観するようになった証だろう。これからも「残実録」を長い長い俳句の記録にしてほしい。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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