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艸句会報:東陽(令和3年1月)

東陽通信句会

高点2句
日だまりに収まるほどの鴨の陣    野村えつ子
一声は自負か威嚇か寒鴉       中島 節子

紅ささぬ口許にヒゲ初笑ひ      中川 照子
年酒酌む並の暮らしを諾うて     岡戸 林風
これはならぬあれもならぬと日向ぼこ 堤 やすこ
おはやうも言はずこつんと寒卵    岡崎由美子
三寒の朝なり頬を軽く打ち      中島 節子
城垣の小さき日溜り福寿草      飯田 誠子
大川を渡れば冬がもう一つ      安住 正子
子に還る母のゆびさき福笑      山本  潔
さざれ波寄せて綾なす冬の浜     長澤 充子
高層の灯を消してゆく除夜の鐘    野村えつ子
かけ声に型の決まりし梯子乗     向田 紀子
老ゆる身に子の労りや日向ぼこ    斉田 文子
公園にボンゴのリズム春隣      貝塚 光子
炉話や語るも聞くも眼つぶりて    新井 洋子
いい加減あきて疲るるマスク顔    松本ゆうき

(清記順)

【一口鑑賞】一声は自負か威嚇か寒鴉」節子さんの句。鴉は一年中、我々の生活圏ぎりぎりのところに居て食べ物を狙っている。寒い朝には2、3羽でゴミ袋をあさる姿を見かけることもあるが、決してつるんでいるわけではない。むしろ真冬の鴉は見るからに孤高の風情が漂う。そんな「寒鴉」が発した声に作者は心を寄せている。「かけ声に型の決まりし梯子乗」紀子さんの句。今年は消防士の出初式も観覧者なしで行われたところが多かった。東京消防庁の出初式はYouTubeで配信されており「梯子乗」の型も紹介されている。しかし、生で見る時のようなハラハラ感は乏しい。この句は勇敢な梯子乗の姿を端的に伝えている。
 「老ゆる身に子の労りや日向ぼこ」文子さんの句。息子、娘さんたちとは同居しているのだろうか、あるいは近くに住んでいるのか。日向ぼこをしながら日々の暮らしを振り返ると、さりげないところで労られている自分に気づく。冬の太陽のぬくもりのなかで家族の顔を思い浮かべるひととき。「炉話や語るも聞くも眼つぶりて」洋子さんの句。いまや囲炉裏のあるところは限られているから、旅先で炉話を聞いたときの思い出だろうか。あるいは、一家団欒の中で誰かが昔話を始めた場面ととらえてもいい。目をつむることで語る方も聞く方も話に集中している。現代では失われつつある炉話の景が浮かぶ一句。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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