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艸句会報:若草(令和3年3月13日)

若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「陽炎」

高点2句
陽炎を背負ひ歩荷の現るる      新井 洋子
かげろふに躓きさうになる齢     吉﨑 陽子

読み返す艸のブログやあたたかし   新井 洋子
囀りてさへづりて空狭めけり     坪井 信子
てふてふの風を抱きてすぐ放し    隣安
陽炎の畦に農夫の影一つ       吉﨑 陽子
残り湯を残らず使ふ余寒かな     市原 久義
話題また昭和に戻る町朧       飯田 誠子
迷ひつつ雛は出さず雛の酒      松本ゆうき
下校児の遠き足下かげろへる     石田 政江
牛啼いて那須の裾野のかぎろひぬ   安住 正子
陽炎へる中山道の一里塚       岡戸 林風
陽炎を喰みては放つ鯉の口      針谷 栄子
糸遊や木根川橋を通せん坊      山本  潔
かもめ鳴く宗谷に迫る流氷群     新井 紀夫
糸遊やあやとりの児の指の反り    沢渡  梢

(清記順)

 【一口鑑賞】陽炎を背負ひ歩荷の現るる」洋子さんの句。兼題「陽炎」の句の中で圧倒的な支持を得た。尾瀬の旅で見た景を思い出して詠んだという。「歩荷(ぼっか)」はいわばシェルパのような人だろう。木道の遠方にまるで透明な炎のように揺らめく湿原を背負った人が歩いてくる。そんな様子が端的に描かれている。実を言うと、歩荷は夏の季語「登山」の傍題でもあるが、この句においては陽炎に焦点が合っており、季重なりは気にならない。「糸遊やあやとりの児の指の反り」梢さんの句。「糸遊(いとゆう)」は「陽炎」の傍題。蜘蛛が糸を吐きながら空中を飛び、その糸が光に屈折してゆらゆら見える現象を言う。あるかなきかの儚さにたとえられる。この句は、あやとりで遊ぶ子どもの指を描写しながら、自分自身の少女時代を思い出しているのかもしれない。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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