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艸句会報:すみだ(令和3年4月24日)

すみだ句会(すみだ産業会館)
兼題「行く春」

高点4句
廃校の錆入る門扉松の芯      長澤 充子
春暮るる大工ひとりの屋根普請   岡崎由美子
古里は未だ屋号や初燕       内藤和香子
全山の芽吹きに音のなかりけり   工藤 綾子

行く春や近江の旅の御朱印帳    福岡 弘子
若き吾と日比谷野音にゐて暮春   岡崎由美子
咲き満ちて風にたゆたふ藤の花   内藤和香子
屋形船舫ふ大川春行けり      髙橋 郁子
花菜漬わが来し方を思ひつつ    岡戸 林風
山寺の眼下に花の能楽堂      大浦 弘子
真つすぐに降る雨が好き花大根   山本  潔
ぬばたまの夜にかたぶく花吹雪   貝塚 光子
ふるさとや耀ふばかり春の海    松本ゆうき
こんこんと昼寝る猫の恋疲れ    工藤 綾子
春風やトランペットを聴く河原   長澤 充子

(清記順)

【一口鑑賞】春暮るる大工ひとりの屋根普請」由美子さんの句。一読して大工さんが屋根の補修作業をしている映像が立ち上がる。歳時記には「屋根替、屋根葺く」という春の季語もあるが、これは冬に雪や風で傷んだ藁葺や茅葺の屋根を春になって葺き替えること。今や農村でもなかなか見られない光景だ。この句は都会の家の屋根工事であり、あくまでも「春暮る」が季語。大工さんの姿を見つめる作者の視線があたたかい。「古里は未だ屋号や初燕」和香子さんの句。古里では今も屋号が使われているという。ただそれだけなのだが、屋号で呼び合った相手の顔や昔からの町のたたずまいなどが目に浮かぶ。そこに変わりなくやってきて営巣する燕たち。自然環境破壊や地球温暖化が大きな問題になっている現代において、変わらないものに思いを寄せている。作者の故郷は山形県鶴岡市。作家・藤沢周平の出身地としても有名だ。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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