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艸句会報:すみだ(令和3年3月24日)

すみだ句会(すみだ産業会館)

高点2句
揚雲雀遺跡に風の吹き渡り     福岡 弘子
みちのくの余震いまなほ彼岸波   貝塚 光子

布被るゴリラの背ナに春日かな   貝塚 光子
地図広げ行く当てもなき春の旅   川原 美春
気が付けば春は樹の花此処彼処   松本ゆうき
風光る的を外れし弓一矢      岡崎由美子
錆すすむ身体に気力草の餅     髙橋 郁子
武骨なる掌より小さき紙雛     大浦 弘子
樋伝ふ雨だれの音春の音      長澤 充子
叶へたる絵馬の願ひや桜咲く    福岡 弘子
見えてゐて声の届かぬ潮干狩    工藤 綾子
夕照の橋くぐりくる蜆舟      岡戸 林風
強東風に押されて渡る四つ木橋   内藤和歌子
遠霞指す道標確かなる       三宅のり子
春雷や剥製光るウィンドー     山本  潔
春宵やガレのランプの蒼き森    並木 幸子

(清記順)

 【一口鑑賞】地図広げ行く当てもなき春の旅」美春さんの句。窓に気持ち良い春の日差しが入る部屋で、地図を広げてバーチャルな旅を楽しんでいるのだろう。コロナ禍さえなければ、本物の旅に出るつもりだったのかもしれない。中七の「行く当てもなき」に寂しさが垣間見える。こうした心の揺らぎが一句の中にポエジーを生む。「見えてゐて声の届かぬ潮干狩」綾子さんの句。声が届かない相手は誰だろう。そう思っているうちに、読み手も潮干狩の浜にいるような感覚になる。やがて潮干狩の声に包まれ、ひたすら貝を探している自分だけがいる。結局、「見えてゐて」の謎は解けないままだが、この句は一つの空間を生み出している。(潔)

艸句会報:若草(令和3年3月13日)

若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「陽炎」

高点2句
陽炎を背負ひ歩荷の現るる      新井 洋子
かげろふに躓きさうになる齢     吉﨑 陽子

読み返す艸のブログやあたたかし   新井 洋子
囀りてさへづりて空狭めけり     坪井 信子
てふてふの風を抱きてすぐ放し    隣安
陽炎の畦に農夫の影一つ       吉﨑 陽子
残り湯を残らず使ふ余寒かな     市原 久義
話題また昭和に戻る町朧       飯田 誠子
迷ひつつ雛は出さず雛の酒      松本ゆうき
下校児の遠き足下かげろへる     石田 政江
牛啼いて那須の裾野のかぎろひぬ   安住 正子
陽炎へる中山道の一里塚       岡戸 林風
陽炎を喰みては放つ鯉の口      針谷 栄子
糸遊や木根川橋を通せん坊      山本  潔
かもめ鳴く宗谷に迫る流氷群     新井 紀夫
糸遊やあやとりの児の指の反り    沢渡  梢

(清記順)

 【一口鑑賞】陽炎を背負ひ歩荷の現るる」洋子さんの句。兼題「陽炎」の句の中で圧倒的な支持を得た。尾瀬の旅で見た景を思い出して詠んだという。「歩荷(ぼっか)」はいわばシェルパのような人だろう。木道の遠方にまるで透明な炎のように揺らめく湿原を背負った人が歩いてくる。そんな様子が端的に描かれている。実を言うと、歩荷は夏の季語「登山」の傍題でもあるが、この句においては陽炎に焦点が合っており、季重なりは気にならない。「糸遊やあやとりの児の指の反り」梢さんの句。「糸遊(いとゆう)」は「陽炎」の傍題。蜘蛛が糸を吐きながら空中を飛び、その糸が光に屈折してゆらゆら見える現象を言う。あるかなきかの儚さにたとえられる。この句は、あやとりで遊ぶ子どもの指を描写しながら、自分自身の少女時代を思い出しているのかもしれない。(潔)

艸句会報:船橋(令和3年2月)

船橋通信句会

高点2句
雪解川三・一一の海へ海へ      山本  潔
春陰やアンモナイトの眠る岨     岡戸 林風

石庭の砂の眩しき梅二月       岡戸 林風
如月や露天湯浴みの肩沈め      小杉 邦男
掬ひ取る潮の匂ひや若布刈り     並木 幸子
園児らの避難訓練鳥雲に       沢渡  梢
保健室の女先生ヒアシンス      新井 洋子
年一度出逢ふ雛の倦怠感       中川 照子
リハビリの自転車こぐや春の風    川原 美春
金銀のチョコのセロハン風光る    針谷 栄子
一針に心込めたるつるし雛      三宅のり子
閉店の知らせの墨書二月尽      飯塚 とよ
折りたたむ傘の滴も春の水      山本  潔
春日射昔は出来し逆上がり      市原 久義
暮れ残る荒畑隅の梅一樹       岡崎由美子
草むらを鴬一羽飛び立ちぬ      平野 廸彦

(清記順)

【一口鑑賞】掬ひ取る潮の匂ひや若布刈り」幸子さんの句。若布刈りは新芽の出る3月ごろに始まる。春とはいえ、冷たい海での作業は厳しい。浅いところでは箱眼鏡などを覗きながら熊手のような道具で刈り取る。作者は、そんな作業を実際に体験したことがあるのかもしれない。この句は上五〜中七の措辞に臨場感があふれている。「金銀のチョコのセロハン風光る」栄子さんの句。コロナ下の今年はバレンタインデー商戦にも変化があったようだ。デパートでチョコレートを求める客数は減る一方、ネット購入や予約販売は好調だったらしい。この句のチョコがバレンタインに関係があるとは限らないが、金銀のセロハンと「風光る」の取り合わせで、いかにも春らしい一句になった。(潔)

艸句会報:連雀(令和3年3月3日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「春眠」

高点5句
春疾風やつぱり好きさビートルズ   松本ゆうき
一人ゐてひとりの眺め春夕焼     坪井 信子
春眠やいつかは止まるオルゴール   山本  潔
追ふ猫も追はるる猫も恋の猫     安住 正子
消しゴムを丸くへらして春眠し    飯田 誠子

電工夫の腰の工具に春日刎ね     進藤 龍子
ぐずぐずと本屋に長居して日永    岡崎由美子
落椿まだあたたかき犬の骨      山本  潔
終点の「みたかー、三鷹」や春眠し  安住 正子
紙風船一人遊びの数へ歌       飯田 誠子
無理をせず過ぎゆくままに柳の芽   春川 園子
恋猫の我が物顔や漁師町       松本ゆうき
町川の蛇行の底の草萌ゆる      向田 紀子
きびきびとまめに生きたし緑立つ   束田 央枝
一と声の初音さぐるも多摩の里    矢野くにこ
お焚上げ待つ千体の古ひひな     松成 英子
筋書のなき春眠のあと五分      中島 節子
立春や陽だまり探す上水路      渕野 宏子
原発そびえ波打きはの桜貝      横山 靖子
火星から地球がきれい春の海     石田 政江
人声の集まつてくる芽吹きかな    坪井 信子

(清記順)

 【一口鑑賞】春疾風やつぱり好きさビートルズ」ゆうきさんの句。一句を読んだ瞬間に頭の中に「ジャーン♪」というエレキギターの音が響くとともにビートルズの歌声が聴こえてきた。上五の「春疾風」は1960年代に登場した彼らが世界の音楽シーンに巻き起こした旋風の大きさを物語っているようだ。さらに中七の「やつぱり好きさ」という措辞がビートルズ世代のノスタルジーを呼び起こす。「一人ゐてひとりの眺め春夕焼」信子さんの句。要は一人で春の夕焼を見ているだけなのだが、上五〜中七で「ひとり」を強調したことで、極めて心象的な意味合いが強い句になっている。一人暮らしとなった寂しさを噛みしめながらも、決して明日への希望を忘れまいとする作者の気持ちが込められているのではないか。(潔)

艸句会報:すみだ(令和3年2月)

すみだ通信句会
兼題「春」

高点1句
料峭や手すり恃みの男坂       岡戸 林風

よべの雨春泥重き土手の径      髙橋 郁子
こつこつと老夫の歩行器長閑なり   貝塚 充子
春めくや命目覚めよ雑木山      工藤 綾子
春めくや子らは遊具にまつしぐら   桑原さかえ
銭洗ふ手元に春の光かな       福岡 弘子
素描めく影を散らして細魚らは    岡戸 林風
老梅の力みなぎる幹の瘤       内藤和香子
沈むかとおもへば浮いていかのぼり  山本  潔
春光を総身に浴びて下校の児     長澤 充子
雪解けて心の闇も薄れけり      大浦 弘子
抱かるる子の手が追ふやしやぼん玉  岡崎由美子
二ン月や擤むやうにささと過ぐ    松本ゆうき

(清記順)

 【一口鑑賞】料峭や手すり恃みの男坂」林風さんの句。風がまだ肌に冷たく感じられるものの季節は春。湯島天神あたりに梅見に出かけたのだろうか。気合は十分だったが、コロナ禍で運動不足になっていることもあり、急な男坂は思いのほかきつい。「手すり恃み」との措辞に気持ちが素直に表れている。「銭洗ふ手元に春の光かな」福岡弘子さんの句。鎌倉の宇賀福神社をはじめ、銭洗弁天のある寺社は全国に散らばっている。金運アップは誰しも願うこと。この句はどこかの弁財天での作。お金を笊に入れて洗う手元の光に焦点を当てたところが良かった。未来への希望を明るく感じさせてくれる。(潔)

艸句会報:かつしか(令和3年2月28日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「春の土」または「春泥」

高点2句
手掴みの鯉の鼓動や春隣       霜田美智子
見はるかす大地響かせ春田打つ    佐治 彰子

春泥を踏みて備前の窯元へ      山本  潔
末黒野や土手に一台消防車      新井 紀夫
まとまらぬ稿に一息春炬燵      伊藤 けい
樫の木のふところ深し小鳥の巣    新井 洋子
難病の友から手紙春の雪       西村 文華
ひとり居の窓辺に春の時雨かな    中山 光代
風光る一歳の子の一歩かな      高橋美智子
梅白し久寿餅もまぶしかりけり    山田 有子
春光や口開く埴輪古墳跡       五十嵐愛子
みどりごの一歩一歩や春の土     霜田美智子
春を待つ貧しき語彙を探りつつ    三尾 宣子
筑波嶺や裾を刷きたる棚霞      佐治 彰子
水温む今日の体は良く動く      小野寺 翠
遍くや晩鐘包む春の雪        近藤 文子
山の音風の音聴く寝釈迦かな     千葉 静江
春泥に足をとられてふふふふふ    片岡このみ
ゆるやかな坂を妹背の梅見かな    笛木千恵子

(清記順)

【一口鑑賞】手掴みの鯉の鼓動や春隣」霜田美智子さんの句。一読して立派な鯉の鼓動が伝わってくる。作者は長野にゆかりがあり、名産の佐久鯉料理などに親しんできたという。鯉の手づかみはなかなか難しいが、観光イベントなどでも人気があるらしい。そんな光景を思い出して詠んだ一句。下五の「春隣」でウキウキ感が増す。「春泥に足をとられてふふふふふ」このみさんの句。読んですぐ坪内稔典の代表句<三月の甘納豆のうふふふふ>を思い出した。甘納豆をほおばりながら、春の到来に顔をほころばせているのが「うふふふふ」。これに対し、このみさんの「ふふふふふ」は春泥に足を滑らせて転んだのか、ズボンの裾を汚してしまったのか、いずれにしても照れ隠しの笑いだろう。解釈はご自由に!これも俳句。(潔)

艸句会報:東陽(令和3年2月)

東陽通信句会

高点2句
広場より迷子のしやぼん玉ひとつ   岡崎由美子
ぶらんこを漕がねば風の音ばかり   飯田 誠子

みちのくに山笑ふ日は何時来るや   中川 照子
魚は氷に上りピエロは公園に     安住 正子
声立てて笑ふ幼児や春立てり     長澤 充子
ヒヤシンス昔のままの喫茶店     岡崎由美子
生き過ぎと思へどうれし梅ひらく   堤 やすこ
消毒の手の甲さする余寒かな     山本  潔
水の春焦土の記憶遠くして      岡戸 林風
物音の増えて薄氷流れ出す      野村えつ子
きらきらと川よこたはる春隣     斎田 文子
春雪は天の恋文ゆらり降れ      松本ゆうき
熊笹に雪解雫の二分音符       新井 洋子
かげろふや家がだんだん遠くなる   飯田 誠子
外来語ふえて建国記念の日      中島 節子
花菜風下校チャイムを運びくる    向田 紀子

(清記順)

【一口鑑賞】ぶらんこを漕がねば風の音ばかり」誠子さんの句。「ぶらんこ」が春の季語。中国の鞦韆(しゅうせん)が日本に伝わり、「ふらここ」「ふらんど」などとも呼ばれる。ぶらんこを漕ぐ楽しさはいかにも春らしいが、この句のぶらんこはなぜか止まっている。作者はそこに座ってただ春風が吹く音を聴いているのである。そこはかとない愁いさえ感じさせるのは、コロナ禍が背景にあるからかもしれない。「魚は氷に上りピエロは公園に」正子さんの句。「魚氷に上る」は七十二候の一つ。太陽暦で2月14日ごろからの5日間に当たり、水が温み始めると、氷の割れ目から魚が躍りでることを示している。このころになると、人々の動きも活発になる。この句は、大道芸人のピエロが公園にやってきたことを言っているだけなのだが、ただそれだけで心が浮き浮きしてくる。カラフルなピエロの服装やユニークな表情が目に浮かんでくるからだろう。(潔)

艸句会報:若草(令和3年2月13日)

若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「春一番」

高点1句
料峭やカレー饂飩の染み二滴     針谷 栄子

春一番富山平野を均しゆく      吉﨑 陽子
草萌ゆる磨けば光る泥団子      新井 洋子
子のゐない校庭ひろし鳥雲に     松本ゆうき
亡き友に唱ふ御詠歌春寒し      石田 政江
継当てのさくらのかたち春障子    市原 久義
二人がかりの猫の点眼春一番     針谷 栄子
花すみれ天守へ辿る道しるべ     飯田 誠子
牡丹雪劇の終りのごときかな     安住 正子
春雨やバスにアニメのラッピング   沢渡  梢
少女らの微分積分春一番       山本  潔
白杖の人の手を取る北風の中     新井 紀夫
春一番耳に当てたる虚貝       岡戸 林風
春月や祷りの島の天守堂       坪井 信子

(清記順)

【一口鑑賞】料峭やカレー饂飩の染み二滴」栄子さんの句。「料峭」は「春寒」の副季語であり、春風が肌に冷たく感じられることを言う。真冬の寒さや、立春後の余寒とは異なり、春になった気分が強調される。そんな時期のカレー饂飩も格別に美味しく、気持ちが明るくなったことだろう。「染み二滴」ぐらいならご愛嬌のうちといったところか。「春一番富山平野を均しゆく」陽子さんの句。春が来て最初に吹く南風が「春一番」。今年、関東地方では2月4日に吹いた。昨年より18日早く、1951年の統計開始以来最も早かった。作者の住む北陸地方はこの冬、大雪に見舞われただけに春が待ち遠しいことだろう。富山平野は富山湾に面した扇状地帯に広がる珍しい地形。掲句は「均しゆく」という措辞で平野を大きくとらえたところが上手い。(潔)

艸句会報:連雀(令和3年2月)

連雀通信句会
兼題「豆」

高点2句
「艸」一年は礎となり草青む     束田 央枝
豆餅を焼けば祖母の手祖母の顔    岡崎由美子

如月や蛇籠にあそぶ水の音      安住 正子
枡で売る谷中の豆腐春近し      進藤 龍子
白梅や俳句支へにわが余生      春川 園子
待春やシャンパンを抜く誕生日    向田 紀子
人の命かくもか弱き樹氷林      横山 靖子
斑野やぽつんぽつんと農具小屋    松成 英子
生きてこそ確かな鼓動初山河     矢野くにこ
チョリソーと煮豆のスープ寒明くる   山本  潔
彼の世でも夫は猫舌小豆粥      坪井 信子
悩みても栓無きことよ葛湯吹く    岡崎由美子
もしかしてコロナももののけ鬼は外  松本ゆうき
常備菜は大豆と鹿尾菜煮て飽きず   束田 央枝
児童館の三和土に転ぶ年の豆     飯田 誠子
薬局へ小雪舞ひをり町夕べ      中島 節子

(清記順)

【一口鑑賞】『艸』一年は礎となり草青む」央枝さんの句。昨年1月の「艸」創刊から1年が過ぎた。予期せぬコロナ禍により句会開催などに多少影響が出たものの、俳句を楽しむ土台はしっかりできた。そんな気持ちを「草青む」という季語に託して詠んでいる。一人一人の前向きな気持ちが「艸」の力になっていくと思わせてくれる一句。「豆餅を焼けば祖母の手祖母の顔」由美子さんの句。豆餅は全国的に食べられているようだが、地域によって黒豆だったり、赤豌豆だったり、大豆だったりとさまざま。この句は、豆餅を焼きながら、大好きだった祖母のことを懐かしんでいる。「祖母の手」「祖母の顔」との繰り返しが効果的だ。作者自身が祖母の姿になっているような感覚にとらわれているのかもしれない。(潔)

艸句会報:船橋(令和3年1月)

船橋通信句会

高点2句
日脚伸ぶ小さき畑に鍬を入れ     小杉 邦男
冬ざれや研ぎ師の洗ふ水砥石     山本  潔

元気かと声が我へのお年玉      飯塚 とよ
双六や思ひ出の地を飛び越えて    並木 幸子
家飲みの酢牡蠣を卓に宵の口     新井 洋子
ゆめと書くデイサービスの筆始め   市原 久義
初筑波北北東に山並も        小杉 邦男
初空や数多学びの余生あり      川原 美春
凧揚げし昔日遠く晴天日       平野 廸彦
寒菊の曲らぬ高さ久女の忌      針谷 栄子
春近し待合室のヴィヴァルディ    山本  潔
ほこほこと苑の芝生や春隣      岡崎由美子
幾年か「逢おうね」友と初電話    三宅のり子
重ねきし通信句会春隣        岡戸 林風

(清記順)

【一口鑑賞】日脚伸ぶ小さき畑に鍬を入れ」邦男さんの句。家庭菜園だろうか。冬の間に土を耕すことで草が生えにくく、土壌も肥えてくる。冬至(12月22日頃)を過ぎれば昼間の時間が少しずつ長くなるが、それを実感するようになるのは1月半ばからで太陽の日差しも暖かさが感じられる。この句は、土を鋤き起しながら感じた「日脚伸ぶ」を端的に詠んだ。
 「元気かと声が我へのお年玉」とよさんの句。ふと聞こえた声の主は昨年亡くなったご主人だろう。「元気か」とやさしく問いかけられて嬉しかった気持ちを素直に句にした。「双六や思ひ出の地を飛び越えて」幸子さんの句。日本一周か世界一周か、旅の双六を楽しんだ作者。かつて旅した地を飛び越した時には懐かしさがこみ上げてきた。
 「初空や数多学びの余生あり」美春さんの句。元旦の晴れ渡った空を眺めての感慨。いろいろ学ぶことが余生の楽しみになっているのだろう。何事にも前向きな作者のことだから、俳句上達も心に誓ったはずだ。「凧揚げし昔日遠く晴天日」廸彦さんの句も正月の空を見ての感慨。晴天に高く揚がる凧を眺めながら、若かりし頃を思い出している。「幾年か『逢おうね』友と初電話」のり子さんの句。友との初電話。「逢おうね」と言いながら幾年が過ぎたのだろうか。(潔)
プロフィール

艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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